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August 2009

August 25, 2009

Belle nuit, ô nuit d'amour または酒の勢いで

さてさて、またまた来月に発表会を控えておりまして、気もそぞろ。なんとなくそわそわしております。
今度の発表会は「オペラ、ミュージカル特集」です。前回の歌曲の特集とは打って変わって、いきなり華やか。
わたくしのキャラクタ的にあんまり華やかなのは似合わないかしらん、というよりも、そもそもオペラなんか歌えませんがな、という消極的な理由で今回の発表会はお休みにしようと最初は思っていたのですが、酒飲み友達のKさんから「二重唱を歌おうよ!」とお誘いを受け、じゃあひとつやってみるか!!とほとんど酔った勢いで出演を決定してしまいました。げにおそろしきかな、お酒の勢い。

しかし、わたしはオペラを観るのは大好きなんですが、自分で歌おうなんて思ったこともないし、よくよく考えてみると曲だってほとんど知らないのです。知っている曲は、「椿姫」とか「蝶々夫人」とか、ソプラノのヒロインが情熱的に歌い上げる曲だったり、「フィガロの結婚」とか「ドン・ジョヴァンニ」とか、バリトンやバスがドスをきかせてたりだとか、でして、そんなモンはハナからわたしには無理。今回は二重唱を歌う約束なので、知っている限りの二重唱の曲を思い浮かべてみても、これがまた、うーん、全然分らない。普段は結構オペラや歌曲を知っているつもりでいたのに、こんなにも知らなかっただなんて!
今までの発表会では、自分で好きな曲を選んで歌ってきたけれど、今回はやむなく師匠にお伺いをたてることにしました。

 「Kさんと二重唱を歌うんですが、曲を全然知らなくて…汗」
すると、
 「『ホフマンの舟歌』がハモりも美しくていいと思います」
という、打てば響くがごとくのお返事。

「ホフマンの舟歌」…なにやら題名は聞いたことがあるものの、やっぱり知らん曲。でもなんとなく良さそうなので、それを歌うことに決めました。
家でインターネットで調べてみると、「ホフマン物語」というオペラの中の一曲ということで、youtubeなどで見てみれば、あー、なんか聴き覚えがあります。映画『ライフ・イズ・ビューティフル』の中で使われてた曲ヤンカ!ええ曲やね、それこそビューティフルだわ!と、師匠のアドヴァイスに感謝し、しばし陶然となりました。

オペラ「ホフマン物語」。
これも、割と有名なオペラで(って、知らなかったくせに)、色々調べてみるとなかなかに複雑な事情もあるようです。作曲家のオッフェンバックがオペラを完成させる前に亡くなってしまったので、後を引き継いだ関係者がああでもないこうでもないと、曲を差し替えたり削ったり復活させたり幕の順序を入れ替えたりなど、それぞれに手を加えたせいで現在は様々な版が存在し、解釈によっては結末などが違うものもあったりするようで、どうも一筋縄ではいかない(それが却って面白かったりするらしいです)。

内容は、E.T.A.ホフマンの怪奇小説『砂男』などがストーリーの下敷きとなっており、タイトルの「ホフマン物語」のとおり、主人公はE.T.A.ホフマンがモデルになっています(というよりそのものなのか?)。
主人公ホフマンが、過去に恋をした(そして恋に破れた)3人の女達を回想する物語で、一幕に一人ずつその女達が登場し、幕も彼女たちの名前が使われます。すなわち「オランピア」「アントニア」そして「ジュリエッタ」。自動人形のオランピア、肺を病む歌手のアントニア、ヴェネチアの高級娼婦ジュリエッタ。その全ての恋は、ホフマン自身の勘違いや思い込みの暴走や無力さなどでことごとく破れるのですが、その悲痛な失恋を運命づけるような存在として、それぞれの幕に不吉な容貌の悪魔が登場し、物語をある一つの高みから支配します。そんなホフマンを最後に救うのは芸術の女神ミューズ。

今回、わたしたちが歌う「ホフマンの舟歌」は、「ジュリエッタ」の幕の冒頭に登場する曲で、大変に妖艶な感じの曲です。妖艶ですよ!美人(?)コンビのわたしたちにピッタリじゃないですか!
なあんて喜んだものの、妖艶どころか今のところ息も絶え絶えです…。精進するしかありません。

ところで、この「ホフマンの舟歌」は、美貌の娼婦ジュリエッタとホフマンの友人ニクラウスが歌う二重唱なんですが、聴けば聴くほど、見れば見るほど、不思議な歌です。ホフマンが恋するジュリエッタとホフマンの友人のニクラウスはオペラの中で別にどうといって接点もないし、歌の内容も「美しい夜、恋の夜」などというなんとも掴みどころの無いような歌詞で、こんな夢を見ているようなとりとめのない歌を、何故幕の冒頭で二人で歌っているのか、わたしにとっては謎なのです。
自分の恋人と、直接接点の無いはずの自分の友人がどういうわけか連れ立って歩いている、というような光景を、夢の中で見たことがありますか?わたしはたまにあるんですが…。
そのような説明のしようのないシュールな光景が、このオペラで展開されるのを見て、わたしは不思議な胸騒ぎを憶えました。デ・ジャ・ヴというか、いつか見たような光景というか、夢とか不可思議って、こんな風に表現されうるものなのだなあ、と。

とまあ、不思議に浸っている場合ではなく、練習とか練習とか練習しなきゃならないんですが(汗)。


持っているDVD

オッフェンバック:歌劇≪ホフマン物語≫全曲

2002年、パリ・オペラ座で公演されたライブ映像。大変美しく豪華でスタイリッシュな舞台が目に楽しいです。オランピアの幕でめがねをかけたニール・シコフ(ホフマン)がなんかウディ・アレンそっくりで可笑しい。ウディ・アレンが「ホフマン物語」のパロディー映画を作ったら面白いのに、なんて勝手に想像してます。

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